さやま猫の会

太陽の子 うずら  

4年前の出来事。

遺棄され保護していた生後約3ヶ月の仔猫、「うずら」が突然食事を摂らなくなった。

中華小皿にありとあらゆるフードを並べたり、強制給餌をしたが食欲が出ない。
病院にて食欲増進の注射をするも、その時だけですぐ食べなくなる。

あの手この手を尽くした結果、鹿肉だけは何故か夢中で食べた。
この際栄養素のバランスなどどうでも良い。
食べる事が生きる事だから。

推定半年になった時、不妊とウィルス検査を実施。結果は陰性。
ところが春先また体調が崩れた。
何となく嫌な崩れ方だった。
直感で再びウィルス検査をした。

結果はダブルキャリア。
ショックでした。

キャリアなら当然隔離しなければない。
しかし体調回復までは良いだろうが、回復したあとはケージだけではストレスになる。
かといってフリーにもできない。
でも何とかして最良の環境を与えてあげたい、そう思っていた。


時を同じくして、先住猫を老衰で亡くしたあるご夫妻から連絡があった。
Wご夫妻はTNRの相談で知り合ってから親好を深めてきた方々で、お二人の心の優しさと暖かさ、ユーモアに溢れたお茶目な会話には、いつもこちらが癒されていた。
「高齢だしもう猫は飼えないわよねぇ」と仰っておられたが、
思い切って、「うちには母子感染のダブルキャリア猫がいます。
悲しい事に多くの場合その寿命は5年未満です。発症までは健康的に暮らせると思いますが、発症すれば短期間で見送ることになると思います。
でも出来たらストレスフリーに単体でのびのび過ごさせてやりたい。
終生お預けをさせていただけませんか?」とお願いをした。

Wご夫妻は心よくうずらを迎える事に了解してくださった。

ご夫妻はうずらに沢山の愛情を注いで下さり、嫌なことはせず、甘えさせ、ベッタリのお母さんっ子にして下さった。
私が遊びに行っても「誰だあいつ?」みたいな感じでそそくさと2階へ避難する。
おーい、うずら~。父ちゃんだぞ~と言っても、預かりに出してからは一回しか触れなかった。薄情ものめ(笑)
ご夫妻は動画や写真をスマホで撮り、ことある度に報告をしてくれた。


3週間前、お二人が譲渡会に遊びに来てくれた際に、うずらの体調が良くないことを告げられた。
おそらく白血病の発症だろう。心の準備をしないといけない。

そして今日の昼過ぎ、うずらが天使へ転職したことをご連絡頂いた。
「うずらを預からせてくれてありがとう。」
お二人の言葉に胸が詰まった。
Wご夫妻には感謝しかない。
慈愛に満ちたおおらかな接し方でうずらを本当に大切にして下さった。
Wご夫妻、ありがとうございました。



うずら
食欲不振から回復したときから、ずっと父ちゃんの後をついて美味しいご馳走を待ってたよね。
陽気に室内を走り、タワーを駆け登り、キッチンでは足元で座り、他の猫とも喧嘩もせず、私にとって明るい太陽のような存在だったよ。
Wご夫妻の所へ行っても、毎日元気に過ごしてましたね。
いっぱいお話を聞いてたよ。
いつも周りを太陽のように照らしてくれていましたよね。


あなたにはオレンジが似合うから、
父ちゃん、花屋で「オレンジの花を入れてください」って注文したよ。
天使になっても空からいっぱい太陽のようにみんなを照らしてね。
みんなで出来るだけ多くの子を幸せにするよう頑張ります。
うずらのようにキャリアで悩む子がいない世界にしたいし、棄てられない世界にしたいから。

うずらありがとう。

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当会には今、再び白血病キャリアの子達がいます。
春ちゃん夢ちゃんの仲良し姉妹。
この子達もまた愛くるしく可愛い子達です。
二匹の最良の環境を提供して下さる方を募集しています。
共に幸せのお手伝いをして頂けたら幸いです。




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文・S

春ちゃんと夢ちゃんの記事はこちらから


category: 活動日誌

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ネコ事情2  



春になると仔猫が産まれる。(最近は一年中産まれている印象ですが)

これって普通に誰もが知っている事だと思います。
雄か雌かの見分けも大体は検討つくと思います。
雄はプリップリのまあるい物ついてるし。

前回からの続き…
2年前の市内某所のアパートで、複数の猫が複数仔猫を産んでしまったとの情報をキャッチした。
2年前に完了した地区だが、やはり流れてくる猫はいる。
発見が遅れて生まれてしまった。

住宅地に住む猫の行動範囲はそれほど広くない。
適正管理してれば、まずそこからほとんどといって良いくらい移動しない。
情報も直ぐ入る。

しかし今回の場合は、アパート一室で餌をもらっていて、行動範囲も限定され、目撃者もほとんど無く誰も気づかなかった。
現場に行くと、ベランダからは外に出れるよう樹木に渡り木まで設置してあった。
家主は平日日中は仕事に出ているので、猫達は木に登り渡り木を伝って部屋に出入りしていた。
部屋の中にはいつでも食べれるようフードが用意されていた。

餌だけ与えて出産に危機感を感じない人は、猫が風邪をひいていても、具合が悪そうでも基本的に気にしない。というか気がつかない。
「風邪みたいの酷くてね、いつの間にかいなくなったよ。」と他人事。
この家主も例外ではなかった。
野良猫の死には、交通事故や病死、仔猫なら野性動物に襲われたり、稀だが虐待死もある。
いつの間にかいなくなったと言う人は、目の前からいなくなればその猫にはもう興味はないのだ。

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茶白の可愛いマサムネ。
マサムネはここの被害猫。
酷い猫風邪だったが治療をしてもらえず片目を失った。

前回は猫から人への被害の話だったけど、猫だって被害を受けている。
中途半端な関わりが生む被害。
マサムネに限った話ではなく、他の外猫現場にはよくある話です。
それでも運良く生き残った猫は、一部の無責任な人から「逞しく生きてる」とか「自然だから」と自分都合で解釈される。
明日は生きているかもワカラナイのに。

よくこれに反発する意見で「全部保護しろ」とか「TNR反対」とか「自分達の癒しの場を奪うな」とか他にも色々あるのですが、できる範囲で保護すればしたで「抱えすぎだ」と更に違う方向からの批判を頂く。

実際は、こういった自己都合の批判には耳を傾けずに粛々と現場を処理するだけなのですが。

今回は生き残り仔猫のシンバ、マサムネを保護し、新たに流入した成猫は不妊化を終了させた。
【老齢雄の痩せ細った薄い黒】を除いては。
この痩せた黒猫の話はまたの機会にしようと思っています。


さやま猫の会は
1 飼い主のいない猫の不妊化
2 公園猫の不妊化と管理
3 保護した猫の里親探し
4 多頭飼育への対応と防止
5 地域住民への啓発

上記を行政・住民と協働で実施しています。

活動者だけが理解して、活動者だけが行動するという概念はありません。
関わる人が主体となり考えてもらい、解決に向かって共に行動しています。

猫のために何をしたらいい?
答えは貴方の中にありますよ。

片目でも健気に生きる甘えん坊のマサムネ、いつもマサムネを心配し寄り添うシンバを是非家族に迎えてみませんか?
譲渡会ではケージの中からチョイチョイと手を出すんだけど、決して爪を出さないの。
その優しさはどこで覚えたの?
とても可愛い二匹です。

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☆さやま猫の会 譲渡会情報

日時:毎週日曜日12時~14時
場所:埼玉県狭山市智光山公園内釣り堀前

公園はとても広いので釣り堀前駐車場が便利です。
悪天候の時など参加猫が少ない場合もありますが、相談は随時受け付けていますので、スタッフは常駐してます。
沢山の猫達が貴方のお越しを猫招きして待ってますニャー。
是非足をお運びくださいね!


こちらの可愛らしい姉妹の里親様、終生預りさまも引き続き募集しています。

白血病の夢と春➡記事はこちらをクリック
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